Nおたふくかぜ |
【ポイント】合併症として無菌性髄膜炎や難聴、年長時期に罹患した際に生じる睾丸炎、卵巣炎などが心配。予防接種で予防可能。 【症状】耳下腺部の腫脹や嚥下時の痛みで発症。発熱を伴うこともある。幼児期に多い。その他、頭痛や吐き気、嘔吐を来すこともある。両頬の腫れは1〜3日でピークに達し、その後3〜7日くらいで消退する。片側の腫れから1〜2日後に反対側が腫れてくることもある。約10〜20人に1人の割合で髄膜炎を起こし、激しい頭痛、嘔吐、発熱を来し、難聴などの後遺症を残すこともある。 【病態】2〜3週間の潜伏期ののち唾液腺の腫れや痛みで発症する。その際ウイルスが血液中に出て、全身をめぐり、髄膜炎や睾丸炎、卵巣炎、膵炎などを起こすこともある。 【診断】耳下腺部の腫脹と痛み、地域の流行があれば診断は確実。頸部リンパ節の腫脹との鑑別が必要な時に、血液中および尿中のアミラーゼという酵素の上昇を確認することもある(耳下腺炎では上昇する)。 【治療】隔離と対処療法のみ。痛みが強い場合には冷湿布や解熱鎮痛剤の使用。耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止で、自宅内安静が必要。 【予後】合併症としての無菌性髄膜炎は極軽症例を含めると、罹患者の約10%に生じると考えられている。また、思春期以降の罹患では、男性で約20〜30%に睾丸炎を、女性では約10%に卵巣炎を合併するとされる。さらに、約2万例に1例程度に難聴を合併する。頻度は少ないが、永続的な障害となる。稀に膵炎も起こす。 【予防】予防接種が大切。十分な予防効果を得るには、1歳過ぎと4−5歳時の2回接種が必要。 |