P風疹 |
【ポイント】妊娠女性(特に妊娠16週未満)の罹患時に、先天性風疹症候群を発症する危険性があることが一番の問題。最近の罹患者は、男性が女性の3倍以上で、ともに成人が7〜8割を占める。ワクチン接種で予防できる疾患。
【症状】感染から2〜3週間後に、発熱、発疹、リンパ節腫脹(特に耳介後部、後頭部、頚部)が出現する。発疹は淡い紅色で、小さく、皮膚面よりやや隆起して、顔から始まり、四肢・体幹に広がる。リンパ節の腫脹は、発疹の出現する数日前より現れ、3?6週間位つづく。目の充血や関節痛、風邪症状を伴う。
【病態】風疹ウイルスにより引き起こされる。上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されるが、その伝染力は麻疹、水痘よりは弱い。発疹が現れる前1週間から、発疹が消えてから1週間後まで感染性がある。また、出生前に感染した乳児は、生後数か月間感染性を保持しているとされる。
【診断】典型的な症状、流行状況から診断。軟口蓋に出血斑を認めることもある。リンゴ病、夏風邪による発疹症、溶連菌感染症などとの鑑別が必要。妊娠中に必要な確定診断は、風疹ウイルスに対する血液中の抗体価を測定する。
【治療】対症療法。
【予後】一般には無治療で回復する。稀に、血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症を認める。母体内感染を来した場合は、先天性風疹症候群(先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症など)を持った赤ちゃんが生まれることがある。
先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられ、幼児期以後にも進行性風疹全脳炎、糖尿病などを発症することがある。先天性風疹症候群の発生頻度は、高率で、妊娠1か月で50%以上、2か月で約35%、3か月で約20%、4か月で約10%と報告されている。成人の15%程度に不顕性感染(無症状)があるとされ、母親が無症状であっても先天性風疹症候群の赤ちゃんは発生する。とりわけワクチン接種が重要とされる理由です。
【予防】MRワクチン(麻疹・風疹)として、1歳時および小学校入学前1年間に2回の接種を行うことが必要。特に、免疫のない成人男性や女性は、早急に予防接種を受けましょう。 |