[ポイント]5~6歳を過ぎても夜間睡眠中に遺尿を生じる場合を夜尿症といい、治療の対象となる。
[症状] 毎晩のように夜尿を生じる。日中は遺尿がない。
[病態] 主に夜間睡眠中の抗利尿ホルモンの分泌不全など、神経・内分泌系の発達遅延に、機能的膀胱容量の減少などの膀胱機能障害、さらに自律神経バランス、ストレスなどが絡み合って生じると考えられる。
[診断] 診断は症状から。夜間尿量と尿浸透圧から主に係わる原因病態を明らかにし、それに応じた治療を選択する。病態かの病型分類を以下に示す。
多尿型 |
夜間尿が多い |
膀胱型 |
機能的膀胱容量が少ない |
混合型 |
混合型 |
解離型 |
共に正常範囲内、過活動膀胱? |
[治療] 1) 生活指導:水分摂取リズムの調整:朝から午前中に水分を多く、午後からの水分を減らす。夕方からはさらにきびしくし、夕食に汁物や果物はやめる。
3) 排尿抑制訓練:膀胱容量の小さい膀胱型の患児には、おしっこのがまん訓練をして、おしっこが少しでも多く貯められるように訓練する。尿意を感じた際に、おしっこをぎりぎりまでがまんさせる訓練です。
2) 薬物療法:多尿(一般に尿浸透圧の低下を伴う)を認める患児には、抗利尿ホルモンのバソプレシンと同じように作用し、その働きを補うミニリンメルトという飲み薬やデスモプレシ・スプレイの与薬を行う。膀胱容量が少ない場合には尿失禁治療薬や過活動膀胱治療薬が用いられる。
4) その他、心理療法やアラーム療法
[予後] 大部分は青年期までに治癒する。
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